賃上げ定着へ「息吹感じる」=集中回答日目前に―十倉経団連会長 2025年03月11日 17時00分

経団連の十倉雅和会長は11日、東京都内で開かれた内外情勢調査会で講演し、12日に集中回答日を控える2025年春闘について、「構造的賃上げを定着させる分水嶺(れい)に来ているが、良いスタートへの息吹が感じられる」と述べ、3年連続となる高水準の賃上げ実現に自信を示した。
十倉氏は、構造的賃上げ実現の前提として、物価の安定と社会保障制度改革の必要性を強調。物価上昇率が「4%、5%に振れたり乱高下したら(賃上げだけでは)対応できない」と指摘し、政府・日銀に対し「2%程度のモデレート(適度)な物価上昇を実現してほしい」と要望した。
また、経団連が掲げる分厚い中間層の形成は「賃上げだけではできない」と説明。「税と社会保障の改革、全世代型社会保障(制度の実現)をやらなければ、稼働世帯、若年層の将来不安が消えない」と訴えた。
十倉氏は講演で、将来的な日本のあるべき姿と実現に必要な政策をまとめた提言「フューチャー・デザイン2040」に盛り込んだ、新たな道州制の導入や脱炭素化への積極投資など六つの施策の必要性を強調。脱炭素化に向けた電源確保には「既存原発の再稼働にとどまらず、次世代革新炉による新増設、リプレース(建て替え)を進めないといけない」として、政府主導での開発加速などを求めた。