円安も不透明感が重し 2024年10月29日 14時40分
日本資産運用基盤グループ・ディレクター白滝俊之氏
衆院選での与党大敗により、短期的に政権運営に対する不透明感が強まる。政治的シナリオが複雑に絡み合い、日本株の重しになる。
石破茂首相は、金融正常化に向けた従来のタカ派的な立場を封印していたが、政権基盤の弱体化で、さらにその姿勢を取れなくなった。日銀にも利上げしづらい環境だが、株には支援材料だ。
為替は円安基調と考える。日米金利差縮小に伴う円高が見込まれていたが、米国経済が軟着陸した場合、米の金利低下は限定的となる。日銀の利上げも向こう1年以内に2回程度ではないか。従来の想定より金利差が縮小しないとすると、円キャリートレードも復調するだろう。
米大統領選が迫り、市場は関税引き上げを掲げるトランプ氏の再選シナリオを織り込みつつある。引き上げで日本国内でもインフレが上振れする可能性があり、個人消費が停滞する。日銀が期待する賃金と物価の好循環には疑問符が付く。