対話維持も火種くすぶる=台湾、南シナ海で一触即発―米中 2024年04月17日 18時04分
【北京、ワシントン時事】オースティン米国防長官と中国の董軍国防相による16日のテレビ電話会談は、軍・国防当局間が対話を維持する姿勢を印象付けた。ただ、習近平政権が「核心的利益の中の核心」と位置付ける台湾問題を巡っては、両者の主張は平行線をたどった。南シナ海では、中国と米同盟国であるフィリピンとの間で衝突が相次ぎ、米中は一触即発の火種を抱えたままだ。
「米国は南シナ海における中国の領土主権と海洋権益を尊重すべきだ」。董氏は、南シナ海での「航行の自由」を説いたオースティン氏にこう主張し、日本やフィリピンと対中連携を強める米国の動きをけん制した。
南シナ海のアユンギン(中国名・仁愛)礁周辺では昨年以降、中国海警局による比船舶への妨害行為が多発。比側に複数の負傷者が出ている。
こうした事態を踏まえ、11日にワシントンで行われた日米比首脳会談では、対中防衛協力の強化で合意。バイデン米大統領は会談冒頭、比軍への攻撃には米比相互防衛条約を発動させると明言しており、習政権はいら立ちを強めている。
台湾では、中国が「独立派」と敵視する頼清徳副総統の総統就任が5月20日に迫る。習政権が軍事、経済、外交面で圧力を一層強める事態も想定され、米中や中台の関係は先行き不透明だ。
中国軍によると、米中国防相が電話会談した翌17日にも米哨戒機が台湾海峡を通過。対台湾作戦を担う東部戦区が「(米軍による)大げさな宣伝だ」と非難する報道官談話を発表した。
南シナ海や台湾海峡で偶発的衝突のリスクが高まる中、米中は対話による意思疎通を継続しながら情勢を管理したい考え。今月2日には米中首脳が電話会談したほか、近くブリンケン国務長官が訪中する予定だ。5月31日~6月2日にシンガポールで開催されるアジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)では、2022年11月以来となる米中国防相の対面会談が実現する可能性もある。