バイデン氏、撤退論に反撃=「党エリート」と対決姿勢―米 2024年07月09日 14時22分
【ワシントン時事】バイデン米大統領(81)は8日、トランプ前大統領との対決で失態を演じたテレビ討論会後に高まる民主党内の撤退圧力に対し、反撃に出た。自身を選挙戦から引きずり降ろそうとしているのは、一般党員と感覚が乖離(かいり)した一部の「党エリート」だと強調。献金者や支持者に中産階級の出自をアピールし、「時間を無駄にしてはいられない。任務は一つ、トランプを倒すことだ」と呼び掛けた。
「党のエリートたちに本当にいら立っている」。バイデン氏は8日朝、MSNBCテレビのインタビューで憤りをあらわにした。同氏の年齢を理由に出馬辞退を求める民主党議員や評論家について、「彼らは2020年も22年も間違っていた。24年も間違っている」と語った。
発言の背景には、過去に年齢や政治手腕を批判されながらも結果を出した「成功体験」がある。バイデン氏は20年大統領選の予備選で苦戦したが、指名獲得後にトランプ氏を破った。22年の中間選挙では共和党圧勝の事前予測に反し、上院で民主党の多数派維持を実現した。
下院民主党の有力議員から撤退要求が上がる中、同党下院トップのジェフリーズ院内総務は8日、記者団に「バイデン氏を支持する立場に変わりない」と明言。上院トップのシューマー院内総務も「私はジョーを支持する」と述べ、現時点で党執行部の結束は保たれている。
CNNテレビがまとめた各種世論調査の平均によると、民主党支持層の58%がバイデン氏の選挙戦継続を支持した。現職としては異例の低水準ながらも、踏みとどまっている。
ただ、か細い声で衰えを感じさせた討論会の姿は有権者にショックを与え、健康状態に関する懸念はくすぶり続けている。米メディアは8日、「パーキンソン病の専門医」がバイデン氏の主治医と面会していたと報道。主治医が書簡を出し、大統領の治療を目的とした訪問ではないと説明する騒ぎとなった。