演劇人2人に禁錮6年=作品で「テロ正当化」―ロシア 2024年07月09日 18時34分

8日、モスクワの軍事裁判所に出廷した劇作家スベトラーナ・ペトリチュク氏(左)と演出家エブゲニア・ベルコビッチ氏(EPA時事)
8日、モスクワの軍事裁判所に出廷した劇作家スベトラーナ・ペトリチュク氏(左)と演出家エブゲニア・ベルコビッチ氏(EPA時事)

 手掛けた演劇作品が「テロを正当化している」として、罪に問われたロシアの著名な演出家と劇作家に対し、モスクワの軍事裁判所は8日、それぞれ求刑通り禁錮6年を言い渡した。作品は2022年にロシア舞台芸術の最高賞「黄金のマスク」を受賞したが、保守系団体が内容を問題視し、告発していた。
 2人は演出家エブゲニア・ベルコビッチ氏と劇作家スベトラーナ・ペトリチュク氏で昨年5月に拘束された。問題となったのは「鷹フィニスト」という作品で、イスラム過激派の妻となったロシア人女子学生がテロ組織に勧誘され、内戦下のシリアに渡航した実話を題材にした。
 ただ、作品はあくまでフィクションであり、罪に問われるのは極めて異例の事態。ロシア国内では「『罪と罰』で殺人を正当化しているとして、文豪ドストエフスキーを逮捕するのと同じだ」(著名記者)と疑問視する声が出た。
 ウクライナ侵攻でロシア社会が保守化する中、「表現の自由」が露骨に制限されたとして、独立系紙編集長としてノーベル平和賞を受賞したドミトリー・ムラトフ氏も事態に懸念を示していた。 

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