地震後の「心のケア」課題に=兵庫の専門家交えセミナー―タイ 2025年05月13日 17時46分

【バンコク時事】ミャンマー中部を震源とする地震で強い揺れが生じた隣国タイでは、精神的な不調を訴える人の心のケアが課題となっている。在タイ日本大使館が13日に開催したセミナーで、兵庫県の専門家は「被災者は精神的なケアを自ら求めない。影響を受けた人を把握し、必要な支援を提供することが重要だ」と訴えた。
3月28日の地震で、バンコクでは建設中の高層ビルが崩落して作業員89人が死亡し、全国で約500棟の建物が損傷した。バンコクでの大きな揺れは異例で、再び地震が起きることや建物の安全性への不安でストレスを感じる人もいる。
オンラインでセミナーに参加した「兵庫県こころのケアセンター」の加藤寛センター長は、阪神大震災で心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した被災者への治療経験などを踏まえて講演。「震災も時間がたつと忘れられてしまうため、効果的な支援には関心を持ち続けることが重要だ。救助隊員らへのケアも見過ごせない」と強調した。
参加したタイ保健省の担当者は「救助隊員らへのケアは、崩落ビルの捜索現場でも課題となった。セミナーの内容を踏まえ、対策強化を省内で議論する」と述べた。