邦人男性、ドリブル2000キロ走破=「挑戦の大切さ伝える」、ギネス更新へ―インド 2025年05月16日 14時01分

15日、インド首都ニューデリーで、ゴールに設定した日本大使館に向かってドリブルする萩原望さん(手前)
15日、インド首都ニューデリーで、ゴールに設定した日本大使館に向かってドリブルする萩原望さん(手前)

 【ニューデリー時事】インドでサッカーを通じた社会貢献に取り組む萩原望さん(31)=岡山県倉敷市出身=が、ドリブルで約2000キロの同国横断を達成した。出発から約2カ月半となる15日、首都ニューデリーの日本大使館にゴールすると、活動を支えてきた仲間と抱き合い、喜びの涙を浮かべた。
 ドリブル走破によるギネス世界記録は、オーストラリア人男性が2023年に7日間で達成した約337キロ。萩原さんは記録を大幅に更新した形で、今後ギネスに申請する予定だ。
 日本ではプロのユースチームや大学などで約19年間、サッカーをプレー。21年にNGO職員としてインドへ渡り、最も貧しい州の一つとされる東部ビハール州で、子供向けのサッカーチーム「FC Nono」を創設した。
 活動を通じ、根強い女性差別やインド特有の身分制度カーストといった社会に根付く問題や矛盾を目の当たりに。サッカーをきっかけとしたジェンダー教育や、罪を犯した若者の更生支援にも取り組んできた。ドリブル横断は、過酷な環境で暮らす子供たちに、現状に打ち勝ち挑戦する大切さや楽しさを身をもって示そうと企画した。
 スポンサー企業を募り、3月3日に東部コルカタを出発。ヒンズー教聖地バラナシや世界遺産「タージマハル廟(びょう)」で知られる古都アグラを通過した。1日で100キロを走ったこともあった。
 道中、炎天下で熱中症や疲労骨折、膝の痛みや蚊に苦しめられた。しかし、子供たちとの約束を思い出し、やめようとは思わなかった。日本大使館に到達した後、「痛みに満ちた長い旅だった。でも、挑戦する喜びを証明できた」と晴れやかな表情を見せた。 

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15日、インド首都ニューデリーにある日本大使館にドリブルでゴールした萩原望さん
15日、インド首都ニューデリーにある日本大使館にドリブルでゴールした萩原望さん

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