汚職捜査当局の独立性回復=ウクライナで法可決・成立 2025年07月31日 20時04分

30日、ウクライナの首都キーウで、汚職対策当局の独立性を制限する法案に抗議するデモ隊(EPA時事)
30日、ウクライナの首都キーウで、汚職対策当局の独立性を制限する法案に抗議するデモ隊(EPA時事)

 ウクライナ最高会議(議会)は31日、二つの汚職対策当局に独立捜査権を戻す法案を可決した。ゼレンスキー大統領が署名し、同法は成立した。
 ゼレンスキー氏は今月下旬、同当局の独立性や権限を制限する法案に署名して成立させた。しかし、各地で抗議デモが起き、当局の独立性を維持するための新たな法案の上程を余儀なくされていた。
 腐敗撲滅は、ウクライナが悲願とする欧州連合(EU)加盟に向けた交渉の条件。問題となった国家汚職対策局(NABU)と特別汚職対策検察庁(SAP)は2015年、国際社会の要請を受けて設置された。
 ゼレンスキー氏は、当局の独立捜査権を奪ったことで、汚職撲滅の公約をほごにしたと批判された。新たな法案で撤回したものの、いったん生まれた国民の不信感が解消されるかは不透明だ。
 首都キーウでは30、31両日、法案の採決を控えて数百人がデモを実施。「NABUとSAPから手を引け」「われわれは見ている」とプラカードに記し、新たな法律を成立させて汚職対策当局の独立性を回復するよう議員らに迫っていた。 

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