元FRB議長ら、懸念表明=トランプ氏の圧力に―米 2025年07月22日 08時52分

【ワシントン時事】トランプ米大統領によるパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長への圧力に関し、バーナンキ元議長らは21日、「深刻な経済的損害」をもたらすとして、相次いで懸念を表明した。パウエル氏にとどまらず、将来の議長の信認も損なうと警鐘を鳴らした。
トランプ氏はパウエル氏に、債務の利払い負担を減らすため、大幅な利下げを要求。パウエル氏の利下げ判断が遅いとして、「すぐに辞任すべきだ」と公言してはばからない状況だ。
バーナンキ氏とイエレン前議長(前財務長官)は21日付の米紙ニューヨーク・タイムズに連名で寄稿し、「金融政策が政府の借り入れの手助けに使われていると認識されれば、インフレが低水準にとどまるとの信頼感が失われる」と指摘。かえって市場金利の上昇を招くと警告した。
トランプ氏肝煎りの大型減税関連法で、米財政赤字は2034年度までに約3兆4000億ドル(約500兆円)増加すると見込まれている。
ブレイナード前FRB副議長も21日、米テレビで、トランプ氏によるFRBへの圧力は「長い間なかった」ほど強いと指摘。「経済(悪化)への責任を(FRBに)負わせるやり口だ」との見方を示した。
パウエル氏の任期は来年5月まで。次の議長についてトランプ氏は「利下げを望む人を据える」と、意のままになる人物を指名する意向を隠さない。バーナンキ氏らは「米経済の利益から、金融政策決定でFRBの独立性堅持に取り組む人物を選ぶよう求める」と訴えた。