与党の支持基盤拡大も=鍵は牛肉食?、野党は南部に強み―印総選挙 2024年04月19日 14時58分
【ラームプル時事】19日に総選挙の投票が始まったインドは、日本の約9倍の国土に言葉や宗教もさまざまな14億人超が暮らす。与野党の伝統的な支持基盤は地域や社会集団ごとに異なってきたが、近年は与党インド人民党(BJP)が階層を超え、支持を拡大しているとの指摘もある。
ヒンズー至上主義団体・民族義勇団(RSS)を支持母体とするBJPの支持基盤は、同国特有の身分制度カーストの上位層や都市住民とされてきた。対する最大野党・国民会議派は低カースト層や農民が主に支持してきた。
地理的にBJPが強いのは「牛肉を食べない地域」(外交筋)。つまり牛を神聖視するヒンズー教の影響が色濃いエリアで、おおむね北部や西部だ。選挙戦では同党から出馬した女性候補者が過去に牛肉を食べたと指摘され、SNSを中心に「炎上」した。
これに対し、会議派や地域政党の牙城となってきた屈指のIT都市ベンガルールを擁するカルナタカ州やケララ州といった南部は牛肉食に比較的寛容。モディ首相は選挙戦で南部に何度も足を運び、切り崩しを図ってきた。
ただ、2019年の前回総選挙でBJPは苦手としていた農村部でも一定の票を得るなど、従来の見方は必ずしも当てはまらなくなっている。政治アナリストのスミット・ピール氏は、現政権が農村部のインフラ建設や福祉政策を推し進めたことなどが奏功したと分析。「支持者は今や社会階層を超えて全土に広がっている」と語った。
ピール氏はまた、現政権が今年1月、聖地とされる北部アヨディヤのモスク(イスラム礼拝所)跡地にヒンズー教寺院を建設したことで支持基盤をさらに拡大させたとも指摘した。寺院建設はBJPの長年の公約だった。