驚きの起訴に赤裸々証言=「大統領候補」にかん口令―トランプ氏口止め料事件 2024年05月31日 15時07分
【ニューヨーク時事】米大統領経験者が史上初めて有罪評決を受けたトランプ前大統領による不倫口止め料記録改ざん事件。国内外で驚きを呼んだ昨年3月の起訴から約1年後に始まった公判では、「次期大統領候補」であるトランプ氏にかん口令違反で罰金が科され、私生活の一部について赤裸々な証言も飛び出した。
トランプ氏が2016年大統領選の直前、ポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんに13万ドル(約2000万円)の不倫口止め料を支払った疑惑を最初に追及したのは、連邦捜査局(FBI)だった。
しかし18年の捜査当時の大統領はトランプ氏。司法省には現職大統領を訴追しないとの内規があり、支払いを立て替えたコーエン元顧問弁護士が選挙資金法違反罪などに問われただけで、トランプ氏は立件されなかった。
一方で、トランプ氏が事件当時居住していたニューヨーク州のマンハッタン地区検察も捜査に着手。捜査中断を繰り返しつつ、起訴まで5年を要した様子から「ゾンビ事件」と呼ばれた。
立件の決め手となったのは、禁錮刑となりトランプ氏とたもとを分かったコーエン氏だった。同氏は公判で4日にわたり証人尋問に応じ、トランプ氏に「いいからやれ」と指示されたと証言。女性関係が明るみに出ることをトランプ氏が警戒していた様子についても語った。
ダニエルズさんも証人として、トランプ氏と性的関係を持った当時の服装などを詳述。その露骨な内容に、事件と無関係だとする弁護側の異議申し立てを判事が認める場面が目立った。
トランプ氏には初公判前の今年3月、関係者に対する攻撃的発言を禁じるかん口令が出された。SNS投稿などで10回違反したとして、計1万ドル(約156万円)の罰金が科された。
トランプ氏は「かん口令のせいで話せない」と不満を表明する一方で、証言台に立って自己弁護することはなかった。検察による反対尋問で不利な発言を引き出されることを危惧したとみられる。