米、ガザ人道財団に43億円=批判の中、支援強化 2025年06月27日 14時58分

【カイロ時事】米国務省のピゴット副報道官は26日の記者会見で、パレスチナ自治区ガザで住民への食料配給に当たる「ガザ人道財団(GHF)」に対し、米政府が3000万ドル(約43億円)を拠出すると明らかにした。米イスラエル主導のGHFの活動は、中立性を疑問視する国連などから厳しい批判にさらされているが、米国として支援強化を打ち出した形だ。
ガザでは従来、国連や主要NGOが物資配給を担ってきたが、イスラム組織ハマスによる物資横取りを懸念するイスラエル政府が3月2日に境界を封鎖。米国とイスラエルが導入した新たな枠組みに基づくGHFが、5月下旬に活動を開始した。
ピゴット氏は会見で、これまでに4600万食分の食料を配給したとGHFの実績を強調。「ハマスの横取りを防止しつつ今日までやってきたことは、称賛され支持されるべきだ」と語った。
だが、GHFの配給所付近では食料を求めて殺到した住民らが死亡する事件が多発し、約550人が命を落とした。ガザ当局は警備に当たるイスラエル軍の発砲によるものとしており、AFP通信によれば、26日も軍の攻撃で65人が死亡した。
イスラエルのネタニヤフ首相は、25日の声明で「ハマスが再び民間人から支援物資を盗み取っていることを示す情報がある」と発表。軍に横取り防止のための計画策定を指示したと述べた。
一方、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は26日、封鎖開始後初めてトラック9台分の医療物資がガザ入りしたと、SNSを通じ発表した。近く病院に運び込まれる予定だが、テドロス氏は「大海の一滴でしかない。命を救うには大規模な援助が欠かせない」と訴えた。