米、ガザの全人質解放案を検討か=水面下で停戦協議継続―報道 2025年07月28日 14時12分

米国のウィトコフ中東担当特使=5月28日、ワシントン(EPA時事)
米国のウィトコフ中東担当特使=5月28日、ワシントン(EPA時事)

 【カイロ時事】イスラエル紙エルサレム・ポストは27日、パレスチナ自治区ガザの停戦交渉を巡り、仲介するトランプ米政権の複数の当局者が、イスラム組織ハマスが拘束する人質全員の解放と戦闘終結を一度に実施する包括的取引を行う必要性を検討していると報じた。60日の停戦期間中に存命の10人の人質を解放するとした従来の案について、ハマスが後ろ向きの反応を示したことを受け、米国とイスラエルは政策の見直しを行っているという。
 米国とイスラエルは24日、ハマスが「停戦への意欲を欠いている」などとして、交渉地カタールの首都ドーハから代表団を引き揚げることを決めた。ただ、エルサレム・ポストによれば、過去数日間、水面下ではイスラエルと仲介役のカタールやエジプトのほか、ハマスも関与する協議が継続。仲介で中心的役割を果たしてきた米国のウィトコフ中東担当特使も同じ時期に、滞在先のイタリアでカタール当局者と複数回会談した。
 イスラエル当局者の一人は同紙に「代表団は引き揚げたが、仲介国との接触は継続している」と指摘した。だが、関係筋は「(米国が目指す)包括的な取引は、(イスラエルとハマスの)双方にとって同意するのは一層難しくなる」との見方を示した。
 一方、国際社会がガザでの飢餓の恐れについて懸念を強める中、イスラエルは27日、一部地域での戦闘停止のほか、国連による支援物資運搬を可能にする「人道回廊」の設置を発表した。AFP通信によると、イスラエルのネタニヤフ首相は「(車両が)安全に通行できるルートは、これまでもあったが、公式に始まった。(搬入制限を批判してきた国連は)もう言い訳できない」と強調した。 

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