英で「難民ホテル」が論議=裁判所が容認、地元で抗議拡大も 2025年08月30日 16時15分

【ロンドン時事】英国で、難民審査の待機者が滞在する政府借り上げのホテルが大きな論議の的となっている。ホテル運用に反対する住民や自治体の訴えを受け、高等法院が滞在差し止めの仮処分を命じたが、上級審である控訴院は29日、運用継続を求める政府の主張を支持すると決定。難民滞在が当面続くことになり、反発する住民の抗議デモが一層活発化する見通しだ。
このホテルは南東部エセックス州にある「ベルホテル」。難民申請中の男性138人が宿泊しているが、うち1人が7月、少女に性的嫌がらせを試み訴追されたのをきっかけに、住民が立ち退きを求めデモを繰り返した。こうした事態を受けて地元自治体は今月12日、難民の滞在差し止めを請求。高等法院は19日に請求を認める判断を下し、9月半ばまでに立ち退きが行われるはずだった。
これに政府が異議を申し立て、控訴院は29日、「多数の事実誤認があった」と高等法院の決定を覆す判決を下した。地元は強く反発し、自治体関係者は「(差し止めへ)闘い続ける」と表明。反移民を唱え支持率首位に立つ右派ポピュリスト政党「リフォームUK」のファラージ党首は「住民より不法移民が人権を認められている」と批判し、「わが党が(難民を)止める」と強調した。
英国では難民や不法移民の流入が深刻化し、喫緊の政治課題となっている。政府は取り締まり強化や送還の枠組みづくりなどで抑制を試みるが、数は増え続ける一方だ。
政府統計によると、亡命申請者は今年6月までの1年間で前年比約14%増の11万1000人。2002年時のピーク(10万3000人)を更新した。多くは小型ボートで英仏海峡を渡って入国。申請者は決定が出るまでホテルなどに収容され、税金で賄われる宿泊費は1日当たり平均577万ポンド(約11億4500万円)に達するという。治安面の不安も相まり国民の強い反発を招いている。