ブータンとつなぐ鉄道建設へ=貿易拡大、中国浸透阻止も―インド 2025年10月02日 14時42分

【ニューデリー時事】インドが自国の鉄道網と隣国ブータンの都市をつなぐ二つの路線を新たに建設する。両国の貿易拡大に向けた連結性向上が目的。近年ブータンに接近する中国をけん制し、地域への浸透を阻止する戦略的事業の側面もありそうだ。
計画では、インド東部バナーハットとブータン西部サムツェ、インド北東部コクラジャルとブータン南部ゲレフーをそれぞれ結ぶ。ブータンの2都市はインド国境に近い。
総延長は約89キロ。建設費は総額約403億ルピー(約670億円)で、インド側が全額負担する。工事期間は3~4年。ブータンに鉄道が敷設されるのは初めてとなる。
ブータンにとってインドは最大の貿易相手国。9月29日に記者会見したインドのバイシュナウ鉄道相は「ブータンの人々に大きなメリットがある。地域全体がつながり、数日かかっていた物資輸送が数時間で可能となる」と述べた。
対して北方に位置する中国はブータン東部の領有権を主張。国境地域への入植を進め、鉄道も同国近くまで延伸させている。インド紙ヒンドゥスタン・タイムズは、事業について「地域諸国との鉄道連結を強化しようとする中国の取り組みに対するインドの回答」との消息筋の見方を伝えた。
鉄路建設地の一つは中印ブータン3カ国の国境が交錯するドクラム高地に近い。同地では2017年に中国の道路建設を巡り中印両軍が約2カ月間にらみ合った。