「疲れ果てた」人質家族=ハマスの奇襲攻撃から2年―イスラエル 2025年10月04日 14時21分

イスラエルによるパレスチナ自治区ガザでの大規模軍事作戦の直接のきっかけとなったのが、2023年10月のイスラム組織ハマスによる対イスラエル奇襲攻撃だ。ガザにはハマスなどが連れ去った人質約250人のうち、数十人が今も取り残されている。「疲れ果てた」。ハマスに圧力をかけるための苛烈な作戦にもかかわらず人質解放が進まない中、家族の帰りを待つイスラエルの人々は、打ちひしがれている。
ガザから約2キロの距離にあるキブツ(集団農場)のクファルアザ。現在もひっそりと静まり返ったままだ。報道によると、ハマスの襲撃で60人以上が死亡し、19人が連れ去られた。死者の多くは残忍な手法で殺害された。
クファルアザ出身のリラン・バーマンさん(37)は、双子の弟ガリさんとジブさん=当時(26)=を拉致された。2人は今年1月の停戦で、合意通り第2段階に移行すれば解放されるはずだった。だが、イスラエルは3月、交渉に見切りを付けてガザで軍事作戦を再開。「人質解放には軍事的圧力が不可欠」(ネタニヤフ首相)と判断したためだ。
ガリさんとジブさんは今もガザで生存しているとみられる。人質解放を訴えつつ、危険な作戦を続ける政府に対し、「戦闘にも演説にも疲れた。約束はいらない」と不満を募らせている。
一方、人質が帰還を果たしても苦難からは解き放たれない。奇襲攻撃で父を殺害され、母や親族を拉致されたシャケド・ハランさん(36)。拉致された家族はイスラエルに戻ったが、「解放後も(家族全体の)トラウマは続く。以前のようにはいられない」と語った。解放された幼いめいは襲撃時、自身が泣き声を出したことで武装要員に見つかったと自責の念に駆られ、一時声を出すこともできなくなったという。
2年前のハマスの奇襲攻撃でイスラエル側で約1200人が死亡したが、その後のイスラエル軍の作戦に伴うガザのパレスチナ人の死者は6万6000人に達している。バーマンさんは「ハマスが問題の核心だ」と非難しつつ、「永遠に続く紛争の中で生きていくことはできない」と強調。衝突の種を取り除くためには、イスラエルとパレスチナの和平が必要だという立場だ。(カイロ時事)。
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