クレディ債「無価値化」取り消し=「法的根拠欠く」―スイス裁判所 2025年10月15日 07時45分
【ブリュッセル時事】スイス金融監督局(FINMA)が経営危機に陥った金融大手クレディ・スイスの救済策の一環として、同行の「AT1債」を緊急法令などに基づき無価値化した措置について、スイス連邦行政裁判所は14日、法的根拠を欠くとして、決定を取り消す判決を言い渡した。
FINMAは2023年3月、約165億スイスフラン(約3兆1000億円)相当のAT1債の全額償却を決めた。しかし裁判所は、当時のクレディは十分な自己資本を保持しており、契約上の償却条件も満たしていなかったと認定。緊急法令などの条文は第三者の財産権を消滅させる法的根拠としては不十分だと結論付けた。
クレディのAT1債を巡っては、約3000の投資家が360件前後の訴訟を同裁判所に起こしており、今回の判決はその一部に当たる。FINMA側は連邦最高裁への上訴が可能で、他の訴訟は判決が確定するまで審理が停止される。