民主地盤標的、事業凍結を断行=トランプ米政権、政府閉鎖を利用 2025年10月06日 14時30分

「死に神」に扮(ふん)したボート米行政管理予算局長官が民主党指導部の肖像画が並ぶ廊下を歩くAI動画の一部(トランプ大統領のSNSより・時事)
「死に神」に扮(ふん)したボート米行政管理予算局長官が民主党指導部の肖像画が並ぶ廊下を歩くAI動画の一部(トランプ大統領のSNSより・時事)

 【ワシントン時事】米議会の与野党対立でつなぎ予算案が成立せず、政府機関の一部閉鎖は今週も続いている。トランプ政権は野党民主党の地盤州を標的にインフラ事業などの資金凍結を断行。政府閉鎖を利用し、政敵である民主への攻撃を強めている。
 ボート行政管理予算局(OMB)長官は3日、自身のX(旧ツイッター)で、民主の牙城である中西部イリノイ州シカゴの鉄道延伸・更新事業計21億ドル(約3000億円)の資金拠出を凍結すると公表した。
 トランプ政権は政府閉鎖後、民主が強い「青い州」を狙って資金停止を相次ぎ発表。西部カリフォルニア州や東部ニューヨーク州などで、民主が推進する交通インフラや気候関連事業が保留されている。
 トランプ政権による民主攻撃は異例の手段に及んでいる。ホワイトハウスなど複数の政府機関のホームページには「民主党が政府を閉鎖した」と掲載。トランプ大統領は自身のSNSに、事業削減を担うボート氏が「死に神」として登場し、民主指導部への攻撃を示唆する生成AI(人工知能)動画まで投稿した。今後は「民主党系省庁」(トランプ氏)を狙い、連邦職員の大規模解雇にも乗り出す構えだ。
 これに対し、年末に失効する医療保険補助の延長など「医療保険を守る」と訴える民主は予算案への反対姿勢を崩さない。民主上院トップのシューマー院内総務は3日の本会議で、ワシントン・ポスト紙が1日に実施した世論調査で医療保険補助延長への支持が約7割に上ったことを挙げ、「われわれは国民の側に立っている」と強調した。
 同紙の調査によると、政府閉鎖の責任は誰にあると思うかとの問いに対し、「トランプ氏と共和党議員」が47%に上り、「民主党議員」は30%にとどまっている。
 ただ、第1次トランプ政権時の政府閉鎖は35日間に及んでおり、今回も長期化する可能性がある。事業削減や職員解雇などの影響が拡大すれば、予算案に反対する民主への風当たりが強まりかねないとの見方もあり、民主指導部は難しいかじ取りを迫られそうだ。 

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