新内閣、発足翌日に総辞職=政治の混迷深まる―フランス 2025年10月06日 16時58分

フランスのルコルニュ首相(左)とマクロン大統領=6月20日、パリ郊外(AFP時事)
フランスのルコルニュ首相(左)とマクロン大統領=6月20日、パリ郊外(AFP時事)

 【パリ時事】フランスのルコルニュ首相は6日、新閣僚の辞表を取りまとめてマクロン大統領に提出、受理された。内閣は少数連立与党体制で5日に発足。しかし、緊縮予算を巡り9月に下院で不信任を突き付けられたバイル前内閣とほぼ同じ顔ぶれで、野党のほか、与党・政府内から批判が噴出していた。
 フランスは短命内閣が続いており、昨夏からの政治の混迷が一段と深まった。野党は解散・総選挙を要求。マクロン氏の判断が注目される。
 ルコルニュ氏は9月の就任演説で、最優先課題の2026年予算成立に向けて「真剣に野党と協力する」と強調。これまでの政治手法の大幅刷新をアピールした。
 ところが、5日の組閣人事では、バロ外相ら大半の閣僚が留任。予算案を担当する経済・財務相にマクロン氏側近のレスキュール元産業担当相が起用され、ルコルニュ氏が務めた国防相には、公的債務増大の責任が指摘されるルメール元経済・財務相が充てられた。
 野党は「バイル前首相のいないバイル内閣」(左派)、「痛ましい人選」(極右)と、従来路線の踏襲に猛反発。マクロン氏の中道勢力と連立与党を組む保守・共和党のルタイヨー内相もSNSで「内閣の陣容に(ルコルニュ氏の)約束は反映されていない」と非難した上、連立解消を視野に党の緊急会合を6日に招集すると示唆していた。
 ルコルニュ氏は6日に演説し、予算協議で譲歩の用意はあったと主張。ただ、「各党が下院の絶対多数を占めているかのような(非妥協的)態度に終始した」ため、調整困難となり、辞任を選択したと述べた。後任が決まるまで職務は続ける。
 昨夏の総選挙後、下院では連立与党が左派、極右と対立。どの勢力も過半数に届かず、不安定な政局となっている。 

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