トランプ氏圧力で合意=恒久停戦は不透明―ガザ和平交渉 2025年10月09日 11時28分

【カイロ時事】イスラエルとイスラム組織ハマスが、パレスチナ自治区ガザの和平案の第1段階で合意したのは、トランプ米大統領が各方面に強く働き掛けたことが大きい。トランプ氏の圧力を受け、イスラエルだけでなくイスラム諸国も和平案に賛同。孤立した形となったハマスは最終的に受け入れざるを得なくなった。ただ、双方が完全に納得しているわけではなく、恒久的な停戦につながるかは不透明だ。
トランプ氏は9月29日に和平計画の公表に先立ち、周到に根回しを行っていた。同月23日、国連総会に出席するためにニューヨークを訪れたエジプトやカタール、トルコに加え、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)の首脳らと会談。ハマスの武装解除をはじめとする和平計画の内容について支持を取り付けた。
さらに、和平計画の公表直前にイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、同意を得た。同氏は、連立政権の一角を占める極右の対パレスチナ強硬派への配慮から停戦に慎重な立場を示していたが、唯一の強力な後ろ盾であるトランプ氏の意向を無視できなかった。
和平計画発表後、トランプ氏はハマスに対し「応じなければ、非常に悲しい結末になるだろう」と警告。アラブ諸国が受け入れを求める中、ハマスも同意した。
しかし、今回の合意は、ハマスが拘束する人質の解放と、イスラエルが収監するパレスチナ人の釈放が主な内容だ。今後、ガザにおけるハマスの軍事・統治能力の解体という妥結が困難な交渉が待ち受ける。協議が行き詰まれば、「合意違反」と見なしてイスラエルが攻撃を再開する可能性は否定できない。