イスラエルとハマス、ガザ和平第1段階発効へ=人質全員解放、軍の一部撤退―トランプ氏、週末にも中東訪問 2025年10月09日 20時10分

9日、イスラエル中部テルアビブでパレスチナ自治区ガザの和平案合意の発表を歓迎する人々(ロイター時事)
9日、イスラエル中部テルアビブでパレスチナ自治区ガザの和平案合意の発表を歓迎する人々(ロイター時事)

 【カイロ、ワシントン時事】パレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡り、イスラエルとイスラム組織ハマスは9日、米政府の和平案の第1段階で合意した。ハマスが拘束している人質を全員解放し、イスラエル軍がガザの一部区域から撤退する。イスラエルメディアによると、イスラエル政府は同日午後8時(日本時間10日午前2時)に閣議を開催。政府報道官は、閣議での承認後、24時間以内に合意が発効し、その後72時間以内に人質が解放されると説明した。
 戦闘休止と人質解放が行われるのは今年1月以来。2年にわたって続いた戦闘の終結に向けて前進した形だ。
 ガザの人質48人のうち20人が生存中とされ、トランプ米大統領は、人質が「13日に解放される」との見通しを示した。イスラエル当局者は地元メディアに対し、エジプトと境界を接するガザ最南部ラファを除き、イスラエル軍が制圧を目指していた中心都市ガザ市を含む大半の都市から部隊を撤退させることになると説明。政府報道官は、撤退後もガザの約53%の地域を掌握すると述べた。
 トランプ氏は米東部時間8日夜(日本時間9日朝)、第1段階の合意をSNSで発表し、「強固で永続的かつ、恒久の平和に向けた第一歩」と強調。「歴史的で前例のない出来事」と表現し、交渉の仲介役を務めたカタール、エジプト、トルコに謝意を示した。
 イスラエルのネタニヤフ首相も声明を出し、「イスラエルにとって素晴らしい日だ」と歓迎。ハマスも「ガザでの戦争を終わらせ、占領地からの撤退、人道支援の流入や捕虜交換のための合意に達した」と説明した。
 トランプ氏は8日、ホワイトハウスで記者団に対し、「恐らく12日に出発するだろう。11日かもしれない」と述べ、エジプト訪問を調整していると明らかにした。
 トランプ氏は9月29日、ガザ和平に向けた20項目に上る計画を発表。和平交渉はこの計画を土台に進められた。計画では72時間以内の人質全員の帰還や、イスラエル軍の段階的撤退などを明記。今後は第1段階の合意の着実な履行に加え、ハマスの武装解除を含めた恒久的な停戦が実現できるかどうかが焦点となる。 

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