「台湾の盾」で防空強化=中国に現状変更断念訴え―頼総統 2025年10月10日 12時53分

【台北時事】台湾の頼清徳総統は10日、中華民国樹立につながった辛亥革命を記念する「双十節」(建国記念日に相当)に合わせ、台北の総統府前で開かれた式典で演説した。頼氏は軍事的威圧を高める中国を念頭に、新型防空システム「台湾の盾(Tドーム)」を構築し、防衛体制を強化すると表明した。
世界最高水準とされる「アイアンドーム」を含むイスラエルの防空体制を参考に、台湾製の地対空ミサイルの改良や米国製兵器の導入を加速する考えとみられる。頼氏は「多層防御、高度な警戒態勢、効果的な迎撃能力を備えた厳密な防空システムを構築し、台湾の防護網とする」と述べた。また「実力によって平和を守る」と強調し、「敵の脅威」に対応するため防衛費を増額する方針を示した。
頼氏の双十節演説は2度目。中台関係を巡っては「中国が武力や威嚇による台湾海峡の現状変更を断念し、共にインド太平洋地域の平和と安定を守るよう期待する」と訴えた。中国大陸と台湾を不可分とする「一つの中国」原則を受け入れない姿勢を鮮明にした昨年の演説と比べ、習近平政権に対する表現は抑制したトーンだった。