イスラエルがガザ和平案承認、軍は一部撤退=停戦発効、人質解放へ―履行監視で米兵200人派遣 2025年10月10日 18時31分

9日、エルサレムで閣議に臨むイスラエルのネタニヤフ首相(右から2人目)(同国政府提供)(EPA時事)
9日、エルサレムで閣議に臨むイスラエルのネタニヤフ首相(右から2人目)(同国政府提供)(EPA時事)

 【カイロ、ワシントン時事】イスラエル首相府は10日、パレスチナ自治区ガザの和平案に関するイスラム組織ハマスとの合意を承認したと明らかにした。首相府などによると、停戦発効を受けて、軍が合意された地帯まで撤退。13日までにハマスが人質を解放する。双方が合意を着実に履行し、停戦を維持できるかが焦点だ。
 イスラエルのネタニヤフ首相は10日のテレビ演説で、ハマスが武装解除するまで部隊をガザに残すと表明。「(協議という)容易な方法で達成できればいいが、そうでなければ強硬策に出る」と述べ、再攻撃も辞さない構えを示した。軍は同国との境界付近や南部ハンユニス、最南部ラファを含むガザ地区の53%の支配を続ける。地元メディアは、撤退時にも一部地域で砲撃や空爆を実施したと報じた。
 ハマス代表団を率いたハイヤ幹部は9日、「仲介国のほか、米政権からも戦闘が完全に終結したとの保証を得た」と指摘。ハマスはこれまでイスラエルが戦闘を再開しないとの確約にこだわってきた。米国の保証が事実とすれば、それによりハマスは和平案への同意に傾いたとみられる。
 一方、トランプ米大統領は9日、ハマスの人質が「13日または14日にも解放されるだろう」と語った。人質は48人で、うち20人が生存中とされる。
 トランプ氏は12日に中東に向け出発するとも述べた。イスラエルメディアは、トランプ氏が13日に同国入りし、国会で演説すると報道。ガザ和平の合意文書調印式のためエジプトも訪れるという。同氏は「(ハマスの)武装解除があり、(イスラエル軍の)撤退もある」としつつ、「最初にすべきことは人質の奪還だ」と訴えた。
 米政府高官は9日、ガザ停戦合意の履行状況監視のため米兵200人を派遣すると表明した。ただ、「ガザに米兵を投入するつもりはない」と強調した。監視団には、エジプトやカタール、トルコなどの軍部隊も参加するという。 

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