ベネズエラの民主主義の「象徴」=不屈の精神、リーダーシップ―ノーベル平和賞のマチャド氏 2025年10月10日 21時17分

【サンパウロ時事】南米ベネズエラの元国会議員で反体制派指導者のマリア・マチャド氏(58)は、反米左派で独裁的なマドゥロ大統領に対する国民の不満を一身に背負う、同国の民主主義を「象徴」する存在と目されている。マチャド氏を、19世紀にスペインの支配からラテンアメリカの解放に尽力した英雄シモン・ボリバルになぞらえる声も多い。
マチャド氏が大きく注目されたのは、2024年の大統領選に向けた予備選で、主要野党の統一候補として得票率が9割を超える圧倒的多数の支持を得て選ばれたことがきっかけだ。マチャド氏は「マドゥロを追い出し、国家の再建を始めよう」と宣言。政権交代への機運を盛り上げた。
そこに、マドゥロ政権が立ちはだかった。同政権は予備選前、マチャド氏が米国によるベネズエラ制裁を支持したとして15年間の公職就任の禁止を決定。マチャド氏は決定の取り消しを求めて訴えるものの、政権が掌握している裁判所はこれを退けた。
マチャド氏は元外交官のエドムンド・ゴンサレス氏を代わりに擁立し、選挙戦では二人三脚でベネズエラ国内を巡った。しかし大統領選では、選管がマドゥロ氏の勝利を発表。野党の独自集計や世論調査と大きくずれる結果を受けて、マチャド氏は「われわれが勝利した」との姿勢を崩さず、支持者らに抗議デモを呼び掛けた。
マドゥロ氏が野党の関係者や支持者に対する弾圧を強める中、ゴンサレス氏はスペインに亡命した。マチャド氏は自らの身を隠しながら、現在も反体制運動を継続。その不屈の精神、リーダーシップは国民がたたえるアイコンとなっている。