米大統領、高関税で中国揺さぶり=レアアース規制で対立再燃 2025年10月11日 14時44分

トランプ米大統領(AFP時事)
トランプ米大統領(AFP時事)

 【ワシントン時事】トランプ米大統領が中国に再び高関税を突き付けた。中国によるレアアース(希土類)の輸出規制強化で両国の対立が再燃した形だ。トランプ氏は今月末の実現を模索する習近平中国国家主席との対面会談の中止も示唆するなど、揺さぶりを強めている。
 「中国が貿易で極めて強硬な姿勢を取っていることが判明した」。トランプ氏は10日、中国の規制強化を非難し、100%の追加関税を11月から導入すると表明した。
 発端は中国商務省による9日の発表だ。レアアースの採掘・加工関連技術などの輸出規制を強化、外国企業に中国産品を用いた製品の輸出に許可を取得するよう求めた。
 中国が今春以降、寡占状態のレアアースの供給を絞ったことで、米国は自動車生産が一時止まるなどの打撃を受けた。中国による輸出規制の緩和は、両国が115%の関税引き下げで合意した5月の閣僚級貿易協議以降、焦点の一つだった。
 トランプ氏は中国によるロシア産原油の購入や米国産大豆の輸入縮小などもやり玉に挙げて批判。対中輸出規制の対象企業も広げ、圧力を強めていた。だが、中国にレアアースの「カード」を再び切られたことで、高関税で即座に対抗。重要ソフトウエアの輸出規制の強化も打ち出した。
 グリア米通商代表部(USTR)代表は10日、FOXニュースで「今後数日、前進の道筋が見えないか検討する必要がある」と指摘。「見つからなければ断固とした行動を取る」とも述べ、強硬策で中国の譲歩を引き出す意向をにじませた。31日開幕のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて調整する米中首脳会談を前に、優位を取られぬよう駆け引きが続く。
 米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のトーマス・クリステンセン氏は「関税を引き上げれば中国が報復することは分かっている。それを何度も見てきた」と強調。超大国の報復の連鎖が世界経済を疲弊させるリスクが再び高まっている。 

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