「帰ってくる!」=人質解放へ期待と不安―エルサレムで集会 2025年10月12日 18時25分

イスラム組織ハマスがパレスチナ自治区ガザで拘束している人質の解放を訴える集会=11日、エルサレム
イスラム組織ハマスがパレスチナ自治区ガザで拘束している人質の解放を訴える集会=11日、エルサレム

 【エルサレム時事】「帰ってくる!」。イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦発効を受け、エルサレムの広場では11日夜、約500人が集会を開き、パレスチナ自治区ガザで拘束中の人質の名前を一人ずつ読み上げ、その都度このように叫んだ。停戦以前の集会でのかけ声は「人質全員を取り戻せ!」だった。
 ハマスは13日までに人質全員をイスラエル側に引き渡すことになっている。「実際に解放されるまで安心できない」と参加者は懸念しつつも表情は柔らかかった。
 「悲しみの多い困難な2年を経て、歴史的な瞬間が訪れた」。人質やその家族に思いを寄せてきたスーザン・カープさん(66)の目はかすかに潤んでいた。「ハマスはこれまで多くの停戦を破ってきた」と疑念は拭えず、「期待と警戒心を持ちながら、祈っている」と語った。
 イスラエルでは、強硬路線を貫き戦闘再開も辞さない構えのネタニヤフ首相ではなく、和平案を主導するトランプ米大統領が合意をもたらしたと受け止められている。プラカードには「トランプさん、ビビ(ネタニヤフ氏の愛称)に圧力をかけてくれてありがとう」と書かれていた。
 兵役経験のあるコンサルタントのヒリット・クラウゼさん(49)は「(イスラエルとガザの市民にとって)戦争は悲劇だ。ハマスは壊滅されなければならないが、戦争は必須ではない」と強調。ハマスの武装解除を含むトランプ氏の和平案を支持した。
 一方、会社員イタマル・コーヘンさん(50)は今回の合意を「ネタニヤフ政権打倒への序章」と位置付けている。イスラエルは戦線をレバノンやイランなどに広げたが、本来はパレスチナをはじめ「隣人との歩み寄り」の方が必要だと指摘した。 

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パレスチナ自治区ガザの人質解放を訴える集会で、トランプ米大統領に感謝するメッセージ=11日、エルサレム
パレスチナ自治区ガザの人質解放を訴える集会で、トランプ米大統領に感謝するメッセージ=11日、エルサレム

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