製造業保護へ一律関税=10~20%、実現には壁も―トランプ氏・米大統領選 2024年11月06日 20時33分

トランプ前米大統領(中央)=6日、フロリダ州ウェストパームビーチ(AFP時事)
トランプ前米大統領(中央)=6日、フロリダ州ウェストパームビーチ(AFP時事)

 【ワシントン時事】勝利が確実になったトランプ前米大統領は、輸入品に対する一律10~20%の追加関税導入を目指す方針だ。対中政策では60%の追加関税や、優遇関税を適用する「最恵国待遇」の撤回も主張。高関税を課すことで、外国企業の米国内生産を促し、雇用拡大と製造業再生を図る狙いで、保護主義的な動きが加速することになる。
 トランプ氏は、巨額の米貿易赤字を「米国の損失だ」と問題視。対日貿易でも赤字を計上しており、日本に矛先を向ける可能性もある。一律関税の導入や最恵国待遇の撤回には、法改正などの措置が必要。輸入品の価格上昇がインフレを再燃させるとの懸念から、実現の壁は高い。
 トランプ氏は前回在任時、知的財産権の侵害などを理由に、大規模な対中制裁関税を発動。中国は米製品に報復関税を課し、「貿易戦争」に発展した。同盟関係にある欧州連合(EU)とも貿易摩擦を引き起こし、日本にも日本車への追加関税をちらつかせつつ、市場開放を求めた。
 一律関税や対中関税が導入されれば、中国だけでなく、日本を含む同盟国との間で再び摩擦が生じるのは避けられそうにない。
 高関税政策はインフレなどを通じ、米家計に打撃を与えるとの懸念も多い。米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)は、平均的な家計に年間2600ドル(約39万円)以上の負担増をもたらすと試算する。議会審議も「かなり難航する」(日本政府関係者)とみられている。
 トランプ氏は、高関税政策を実現するよう議会に働き掛けつつ、生産拠点の米国回帰を企業に促したり、他国に市場開放を迫ったりする「ディール(取引)」の材料に利用するとの見方も出ている。 

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