習政権、少子化対策に本腰=育児手当額に不満の声も―中国 2025年08月20日 17時30分

公園で子供を抱く女性=7月30日、北京(EPA時事)
公園で子供を抱く女性=7月30日、北京(EPA時事)

 【北京時事】中国の習近平政権が、少子化対策に本腰を入れている。満3歳までの子供を対象に全国で育児手当を支給するほか、幼稚園の一部無償化にも踏み切る。急速に進む少子高齢化に歯止めをかけるのが狙いだが、支援額には不満の声も出ている。
 育児手当は、満3歳までの子供を持つ家庭に1人当たり年3600元(約7万4000円)を支給。「建国以来、初の大規模で包括的な民生保障の現金補助」(郭燕紅・国家衛生健康委員会副主任)といい、8月末までに全国で申請受付を始める。
 新学期の9月からは、公立幼稚園の最終学年に限り学費を無償化する。私立幼稚園にも公立と同水準を補助。対象者は約1200万人で、約200億元(約4100億円)の家庭の負担軽減につながるという。
 地方では、出産奨励策も始まっている。内モンゴル自治区フフホト市が第2子は満5歳まで、第3子は満10歳まで毎年1万元(約20万5000円)の支給を決めるなど、続々と支援策を発表。30年以上続いた産児制限「一人っ子政策」の下では違反者から罰金を徴収していただけに、180度の方針転換だ。
 中国では2022年から総人口が減少に転じた。24年の出生数(954万人)は前年から増加したものの、直近のピークだった16年の約半分。習政権は、経済的な支援を通じて、社会全体が豊かになる前に高齢化が進む「未富先老」を食い止めたい考えだ。
 だが、政府の支援策を巡ってはSNSなどで「金額が少ない」といった不満が出ている。中国のシンクタンク「育※(※女ヘンに渦の右側)人口研究」の24年版の報告書によると、子供1人が高校卒業までにかかる費用は全国平均で53万8000元(約1100万円)。1人当たり国内総生産(GDP)の6.3倍で、日米欧など14カ国の中では韓国に次いで高い。
 激化する受験競争や学校への送り迎えなど「子育ての経済的、心理的負担が大き過ぎる」(北京市内の30代女性)といった声は多く、支援策の効果は見通せないのが実情だ。 

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