野党李氏、検察・司法改革を公約=「腹いせなら危険」指摘も―韓国大統領選 2025年05月30日 18時45分

30日、韓国北東部江原道・春川で、大統領選の遊説を行う革新系最大野党「共に民主党」候補の李在明前代表(EPA時事)
30日、韓国北東部江原道・春川で、大統領選の遊説を行う革新系最大野党「共に民主党」候補の李在明前代表(EPA時事)

 【ソウル時事】韓国大統領選(6月3日投開票)でリードする革新系最大野党「共に民主党」の李在明前代表が、検察・司法制度の改革を公約に掲げている。李氏は「内乱の克服と民主主義の回復」の一環と説明するが、国会は共に民主党が多数。自ら5件の刑事裁判を抱える李氏が大統領に就けば、三権分立が脅かされるとの懸念も出ている。
 具体的には、検察官の罷免制度の導入や最高裁判事の増員などを挙げた。検察から捜査権を奪うとともに、「起訴権の乱用を防ぐため統制を強化する」と明記した。
 李氏は、尹錫悦前大統領による「非常戒厳」宣言で「韓国の憲政秩序と民主主義がじゅうりんされ、憲法と民主主義の弱点が明らかになった」と改革の必要性を強調する。ただ、疑惑を巡って検察と対立してきた李氏の主張なだけに、自らの身の安全のためではないかとの疑念を払拭できていない。
 1日に最高裁が李氏の公選法違反事件の無罪判決を破棄し高裁に差し戻したことにも、共に民主党は「司法の政治的な介入だ」と反発。その後、同党から、最高裁判事を現行の14人から100人に増員したり、弁護士資格がない人の任命も可能にしたりする法改正案など最高裁を標的にする法案提出が相次いだ。
 法案は選挙への悪影響を考慮していったん撤回したものの、公約には最高裁判事増員が入った。30日付の有力紙・中央日報は社説で「検察や司法への腹いせなら危険だ」と指摘した。
 一方、保守系与党「国民の力」の金文洙前雇用労働相は「大統領の不訴追特権の廃止」を公約に掲げた。ただ、李氏を攻撃するためのネガティブキャンペーンの一環で、十分な議論を経たとは言い難い。 

日本(最新10件)