米労働市場、悪化鮮明に=トランプ政策の影響じわり―雇用統計 2025年08月02日 14時10分

建設現場で働く労働者=6月6日、ワシントン(EPA時事)
建設現場で働く労働者=6月6日、ワシントン(EPA時事)

 【ワシントン時事】1日公表の7月の米雇用統計では、5、6月分の非農業部門就業者数が大きく下方修正され、堅調だと思われていた米労働市場が急激な鈍化に見舞われたことが鮮明となった。統計の結果に不満なトランプ大統領は責任者を解任したが、大統領が推し進める高関税政策や移民規制強化の影響が出始めており、雇用悪化は覆い隠せそうにない。
 大幅な修正の結果、5月の就業者数は前月比1万9000人増、6月が1万4000人増と、低い伸びにとどまった。7月も市場予想を下回る7万3000人増となった。アトランタ連邦準備銀行のボスティック総裁は米テレビで「雇用が大きく鈍化している明白な兆候だ」と、警戒感をあらわにした。
 過去3カ月、とりわけ移民が労働力の大部分を担う建設業やレジャー・接客業で、伸びが低調だった。ホワイトハウスのミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長は、政権が移民規制強化を進めており、「外国出身者の雇用落ち込みが指標に表れた可能性がある」と認めた。
 また、製造業の雇用も3カ月連続で1万人超の減少を記録した。「高関税に関連した企業投資の減退などによるもの」(米金融大手)との見方が出ている。
 米労働市場の予想外の弱さは、トランプ政権にも衝撃だったようだ。動揺の大きさを示すかのように、トランプ氏は「統計が不正に操作された」として、直ちにマッケンターファー労働統計局長を首にした。
 エコノミスト団体の全米企業経済協会(NABE)は「解任を強く非難する」と表明。米国の経済指標は正確さや透明性で「世界基準」と見なされており、「統計システムへの異例の攻撃は長年の信頼性を脅かす」と警告した。 

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