「日印はいい補完関係」=首脳会談に期待、新経済圏構想歓迎―印日商工会長 2025年08月27日 14時09分

インタビューに応じるインド日本商工会の吉野節也会長(インド三菱商事社長)=21日、ニューデリー
インタビューに応じるインド日本商工会の吉野節也会長(インド三菱商事社長)=21日、ニューデリー

 【ニューデリー時事】29日に予定される日印首脳会談を前に、インドに拠点を置く日系企業でつくるインド日本商工会の吉野節也会長(インド三菱商事社長)が時事通信のインタビューに応じた。「日本とインドはいい相互補完関係にある」と話し、政府間の関係強化だけでなく人的交流の拡大にも期待を寄せた。
 吉野氏は「労働人口の減る日本に対してインドは増え、雇用の創出が課題だ。日本で不足する理系人材がインドには豊富にいる」と指摘。グローバル企業幹部を輩出するトップ層の優秀さも魅力に挙げた。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば、インドに進出する日系企業の8割弱が黒字。今年にもインドの名目GDP(国内総生産)が日本を抜くとの予測もある。「人々がきょうよりあすが良くなると信じており、勢いがある。インフラ整備も目に見えて進んでいる」と実感を口にする。
 一方、「インド政府の規制への対応に金銭的コストや手間がかかる」と述べ、特に中小企業にとって参入の障壁があると説明。商工会会員から意見を募り、改善点をインド当局に伝えている。
 先に石破茂首相が提唱した新構想「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」は、アフリカへの貿易・投資拡大を図るインドなどに拠点を置く日本企業への支援が主眼だ。既に自動車大手スズキや空調大手ダイキン工業などがインドを足場にアフリカ市場開拓を目指しており、「日印の企業が手を取り合い、アフリカの発展に寄与していけるのは素晴らしい未来」と歓迎する。
 三菱商事としてはインドのエネルギー需要が伸びていくことを受け、クリーンエネルギーへの転換や都市化の進展に合わせた事業を展開したいという。「国内市場はまだ開拓の余地がある」と話し、巨大な消費市場攻略も見据えている。
 インドは「成長が早く、参入難易度は年々高まるため、(進出や投資は)早いほどいい。競争も厳しく、粘り強くやることが大事」と強調した。 

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