官民でインド半導体国産化支援=成長取り込み、供給網分散化も 2025年08月30日 16時01分

日本の官民が、インドの半導体国産化に対する積極的な支援を打ち出している。29日の日印首脳会談では、半導体のサプライチェーン(供給網)強靱(きょうじん)化に向けた協力を確認、今後高度人材の交流などを進める。日本企業も相次ぎ生産・開発拠点を整備。成長市場を取り込むとともに、中国に偏った半導体供給網を分散化し、双方の経済安全保障の強化につなげる。
石破茂首相とインドのモディ首相は30日、半導体製造装置大手、東京エレクトロンの宮城県内の工場を視察した。同社は7月、インドに製造装置の設計などを行う開発拠点を新設したばかりだ。このほか、同国大手財閥系のタタ・エレクトロニクスと提携する富士フイルムは半導体材料工場の建設を検討。ルネサスエレクトロニクスも同国政府との提携で技術人材の育成を手助けする。
米シンクタンクは報告書で、インドの半導体市場規模は2020年の150億ドル(約2兆円)から26年には640億ドル(約9兆円)を超え、30年までに1100億ドル(約16兆円)に到達すると予想。5年後には世界の10%のシェアを占める可能性があり、半導体材料や製造装置に強みを持つ日本企業にとっても有望市場だ。
ただ、日本貿易振興機構(JETRO)によると、インドは23年実績で半導体製品の5割以上を中国、香港からの輸入に依存。製造業の発展を通じて、貿易赤字の縮小と雇用の拡大を目指すモディ氏にとって、脱・中国依存は大きな課題だ。
こうした中、日本政府は高度人材の交流を通じて「お互いの強みで補完し合える」(経済官庁幹部)と期待する。日本は機械工学の人材が多く、国内での一貫した生産体制づくりを急ぐインドに貢献できる余地は大きい。一方、先端IT人材の不足が深刻化する日本にとり、人材が豊富なインドとの協力は成長の起爆剤となり得る。
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