新紙幣、流通開始=肖像は渋沢、津田、北里の3人―20年ぶりに歓喜 2024年07月03日 08時05分
新しい紙幣(日本銀行券)3券種の流通が3日、始まった。デザインの変更は約20年ぶり。新しい肖像は、1万円札が「近代日本資本主義の父」と呼ばれる実業家の渋沢栄一、5千円札が日本最初の女子留学生で女子英学塾(現津田塾大学)創立者の津田梅子、千円札が「近代日本医学の父」と言われる細菌学者の北里柴三郎。
支払いを現金以外で済ませるキャッシュレス化が進む中での紙幣一新は今回が初めて。早速入手した人からは歓喜の声が上がった。
日銀は3日、東京・日本橋本石町の本店と全国の32支店で、金融機関専用窓口を通常より1時間早い午前8時に開け、金融機関への払い出しをスタート。日銀の植田和男総裁は発行開始に当たり「新しい日本銀行券がわが国経済を支える潤滑油となることを期待している」と本店であいさつした。新紙幣は40万枚ごとにまとめたブロックで日銀から金融機関に引き渡され、現金輸送車に次々と積み込まれた。
金融機関の一部店舗では3日に新紙幣への両替が始まり、東京・丸の内の三菱UFJ銀行本店では行列ができた。世田谷区在住の岡田宗彦さん(72)は早速手に入れ「縁起物だよね」と笑顔を見せた。
財務省と日銀は、偽造を防ぐ目的で紙幣のデザイン変更をほぼ20年ごとに行っている。1万円札の顔の交代は1984年に聖徳太子から福沢諭吉になって以来約40年ぶり。前回2004年発行の1万円札では肖像は変えずに裏面の図柄などを新しくしていた。今回の3券種の変更では、傾けると肖像が立体的に動いて見える3次元(3D)ホログラムなど、世界初の偽造防止技術を採用した。
日銀は今年6月末時点で3券種合計で約52億枚を備蓄。3日には約2億8000万枚、1兆6000億円分の新紙幣を送り出した。
これまでに発行した福沢諭吉の1万円札、樋口一葉の5千円札、野口英世の千円札も引き続き使用できる。財務省と日銀は「従来の日本銀行券が使えなくなるとかたる詐欺に注意してほしい」と呼び掛けている。