慎重姿勢は残る 2025年04月16日 16時11分

伊藤忠総研マクロ経済センター長・宮嵜浩氏
 関税を巡る米国と中国の対立に改善の兆しが見られれば市場心理の悪化に歯止めがかかり、株価は戻りを試すだろう。ただ、米中の対立構造が残る限り、投資家の慎重姿勢は残る。
 最近の株価下落はトランプ米政権の相互関税が起点になっている。エネルギーや金融など、トランプ政権による規制緩和の恩恵を受けるといわれていたセクターも売られており、市場は世界景気減速を警戒している。
 こうした局面では通常、中央銀行が資金供給するが、米国は中銀が機動的に動くにはインフレ率が高過ぎる。政府と連邦準備制度理事会(FRB)の足並みもいまひとつそろわず、危機回避に必要な当局の強い姿勢や機動力に疑問符が付く。最近の相場急変動の背景には、金融システム危機への意識もあるのだろう。金融市場も実体経済も「トランプ関税」というキーワードだけでは片付かない状況になりつつあり、気がかりだ。

FED(最新10件)