同性育児本の禁止撤回=「検閲」と反発受け―豪市議会 2024年05月15日 21時56分
【シドニー時事】オーストラリア・シドニー郊外のカンバーランド市議会は15日夜(日本時間同)、同性カップルによる育児をテーマにした本を市立図書館に置くことを禁止した措置を撤回した。上位自治体のニューサウスウェールズ州当局や住民らから「検閲に当たる」と強い反発を受けたことに対応した。
禁止措置は、保守派の市議が「伝統的な家族の価値を守る」として提案し、1日に6対5で可決された。15日は、12対2の圧倒的多数で撤回が決まった。4時間に及ぶ討論では「特定の価値観を社会に押し付けてはならない」「図書館の公平さを確保すべきだ」といった意見が相次いだ。
禁止決定後、住民や人権擁護団体からは「差別」や「表現の自由の侵害」を懸念する声が続出。州当局は図書館関連予算の同市への支出を停止する構えを示し、再考を促していた。