中国軍、包囲演習継続=台湾威圧の姿勢鮮明に 2024年05月24日 17時00分
【北京、台北時事】中国軍は24日、前日に続き台湾包囲の大規模演習を行った。台湾の頼清徳総統が20日に就任した直後のタイミングで、頼政権を軍事的に威圧する姿勢を鮮明にした。中国は今後、頼氏が台湾独立を明確に主張したと見なせば、第2弾の軍事演習に踏み切ると予想される。中台間の対立は出口が見えない状況に陥った。
予告では24日は2日間の演習の最終日。対台湾作戦を担う中国軍東部戦区によると同日は、各部隊が連携して重要区域を制圧する訓練などを実施した。台湾本島周辺では、艦隊が海上の目標物を模擬攻撃。爆撃機や実弾搭載の多数の戦闘機が出撃した。地上では砲兵部隊が模擬発射の訓練を行った。
台湾国防部(国防省)は24日夜、同日の中国の演習には軍艦と海警局の船計27隻、軍用機延べ62機が参加したと発表した。軍用機のうち延べ47機が台湾海峡の中間線を越えるなどして台湾側に接近。頼氏は24日、SNSで「台湾海峡の安全と安定を確保し、台湾の自由と民主主義を守ることが一貫した国防目標だ」と強調した。
2日間の日程では、陸海空軍とロケット軍が統合演習を展開した。東部戦区は「台湾独立勢力への懲罰と(米国など)外部勢力への警告」と目的を説明。艦艇や航空機が台湾を包囲したり、弾道ミサイルのようなものが北部の台北、南部の高雄、東部の花蓮沖に着弾したりするイメージ動画を公開し、台湾側を威嚇した。中台双方の軍艦が近距離でにらみ合ったとする録画映像も流した。
実際の弾道ミサイル発射は確認されていない。中国は演習での「模擬攻撃」を強調しており、米国の激しい反発を避けながら、次の演習につなげる狙いがあるとみられる。台湾内では「演習第2弾があり得る」との見方も出ており、中台間の軍事的緊張は当面続きそうだ。