習政権、頼総統追い込み=台湾侵攻、まず経済封鎖 2024年05月24日 18時46分
【北京時事】中国の習近平政権は軍事的威圧を通じ、台湾の頼清徳総統を追い込む構えだ。頼氏が就任演説で、米国や日本を念頭に民主主義国と共に中国に対抗する姿勢を見せたことから、中国は日米台の連携を警戒しているとみられる。実際の台湾侵攻の判断は慎重に行わざるを得ないが、今回の演習からは、まず経済封鎖で「兵糧攻め」にする想定がうかがえる。
「台湾独立勢力が独立をたくらんでいることへの強力な懲罰であり、外部勢力の干渉と挑発に対する厳重な警告だ」。対台湾作戦を担う中国軍東部戦区の報道官は23日、演習開始に当たり明確に目的を説明した。「台湾独立勢力」は頼氏らを指し、「外部勢力」は米国や同盟国を意味する。
中国国営中央テレビによると、軍関係者は台湾東部沖に設定された演習区域の重要性を指摘。東部の港を通じたエネルギー輸入を阻み経済封鎖すれば「台湾経済は一瞬で崩壊する」と述べた。また、有事の際に東部周辺が米軍などからの補給ルートになると想定し、それを断ち切る狙いもあると説明した。台湾の東には沖縄県・与那国島などがある。
中国共産党にとって「祖国統一」は悲願だ。建国の父、毛沢東もなし得なかったが、習国家主席(党総書記)は「統一は必ず実現しなければならず、必ず実現できる」との立場。中国国防省の報道官は24日の記者会見で「台湾独立勢力が挑発してくれば、われわれはさらに反撃し、それは祖国完全統一の実現まで続く」と強調した。