被告人トランプ氏、異例の6週間=口止め料裁判、28日最終弁論―証言せず、法廷外でアピール 2024年05月26日 15時19分

不倫口止め料の記録を改ざんした罪に問われ、出廷したトランプ前米大統領=16日、ニューヨーク(AFP時事)
不倫口止め料の記録を改ざんした罪に問われ、出廷したトランプ前米大統領=16日、ニューヨーク(AFP時事)

 【ニューヨーク時事】トランプ前米大統領が不倫口止め料の記録を改ざんした罪に問われている裁判は28日、ニューヨーク州地裁で最終弁論を迎える。大統領経験者が「刑事被告人」となった米史上初の異例の事件。4月15日の初公判以来の6週間を振り返った。
 ◇連日出廷
 ニューヨーク州法は、被告人に対して出廷を義務付けている。トランプ氏も例外ではなく、水曜日を除く平日4日間を法廷で過ごすことを余儀なくされた。
 「私は今、各地の集会にいるべきだ」。約5カ月後に迫った大統領選での共和党候補指名を確実にしているトランプ氏はこう述べ、選挙活動が不当に制約されていると不満を訴えてきた。
 法廷内のテレビ中継は認められていないが、廊下にはテレビカメラが常に待機。トランプ氏は、法廷に出入りする際にカメラに向かって毎日「演説」し、支持者らにアピールする場として利用している。
 ◇トランプ詣で
 地裁には公判中、裁判関係者だけでなく、共和党の有力者が続々と傍聴に訪れた。バンス上院議員や実業家のラマスワミ氏ら同党の副大統領候補として取り沙汰される政治家が集結。報道陣に対し、政治的動機に基づいた「偽りの裁判だ」などと語り、トランプ氏への忠誠心を競って示した。
 「トランプ詣で」は裁判所の外でも見られた。関係構築を目指し、各国要人が滞在先のトランプタワーを訪問。4月23日には自民党の麻生太郎副総裁が地裁から戻ったトランプ氏と会談した。
 ◇動機は「金と復讐」と主張
 裁判はこれまで、大きな遅れもなく進んできた。民主党支持者の多い土地柄で難航が予想された陪審員の選任手続きは、1週目に終了。2週目から検察の証人尋問が始まった。
 検察は、不倫相手のポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんやトランプ氏の腹心だったマイケル・コーエン元顧問弁護士ら20人の証人を喚問。メールや通話記録などを示しながら、トランプ氏が「2016年大統領選に勝つためにネガティブな情報を隠した」との立証に努めた。
 一方、弁護側の証人は過去にコーエン氏の相談に乗った男性弁護士ら2人にとどまり、反対尋問に時間を割いた。ダニエルズさんやコーエン氏らが「金や復讐(ふくしゅう)」のためにトランプ氏を陥れようとしていると主張し、証言は信用できないと印象付ける戦略を取った。ただ、トランプ氏自身は最後まで証言台に立たず、時折目を閉じながら大半の時間を着席して過ごした。 

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