台湾芸能人「私は中国人」=発言相次ぐ、政治圧力か 2024年05月29日 16時38分
【北京時事】台湾の芸能人が相次いで「私は中国人」と発言し、台湾内で若者を中心に波紋が広がっている。台湾統一を目指す中国の圧力が背景にあるもようで、中国政府は29日、中国寄りの立場を示す台湾の芸能人が中国で活動することを強く支持すると表明した。
台湾メディアによると、台湾の人気ロックバンド「五月天(メイデイ)」でボーカルを担当する阿信さんは24日、北京でのコンサートで「われわれは中国人だろ。北京に来たら必ずダックを食べるんだ」と発言した。24日は、中国が台湾を取り囲んで行った軍事演習の2日目だった。
台湾の若者の間では「台湾人意識」が強く、この発言に批判が高まり「ネット炎上」を招いた。しかし、阿信さん以外にも台湾の歌手、俳優ら著名人が最近、中国政府の主張に沿った形で統一を支持する立場を次々と明らかにしている。
台湾の頼清徳総統は26日、「台湾の芸能人は(中国寄りの)政治的意思表示を迫られている」と指摘。さらに「芸能人は他人の軒下で圧力に耐え忍んでいる」と、中国を「他人」と呼び、習近平政権が求める「一つの中国」原則を拒否する認識を重ねて示した。
中国政府で台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官は29日の記者会見で、こうした芸能人の中国での公演を支持すると述べるとともに、「ここ数日、100人近い台湾の芸能人が(『中国人だ』と)意思表示した」と主張した。