「世界一流」目指し核軍拡=原爆実験60年、実態は不透明―中国 2024年10月16日 14時17分
【北京時事】中国が原爆実験に初めて成功してから、16日で60年。アジア初の「核保有国」となった中国は現在、約500発の核弾頭を持つとされる。米ロに肩を並べる「世界一流の軍隊建設」を目指し核戦力の増強を続けているが、その実態は不透明だ。
「超大国による核の独占を打破し、中華民族を立ち上がらせた」。中国国有の核関連企業、中国核工業集団は、今月発行の中国共産党理論誌「求是」に掲載した論文で、60年前の原爆実験の意義を強調した。
中国は核の「先制不使用」と「最小限の保持」を掲げるが、一方で習近平国家主席は「強力な戦略抑止力システムを構築する」として、核戦力の強化を表明。米本土を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の増強や、迎撃が困難とされる極超音速兵器の開発と実戦配備を急いでいる。
核弾頭の保有数も増やしているもようで、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、今年1月時点の中国の核弾頭保有数は前年から90発増え約500発。米国防総省は2023年の年次報告書で、30年には1000発以上になると予想している。
福建省では2基の高速増殖炉を建設中で、稼働すれば核爆弾の原料となるプルトニウムの保有量が飛躍的に増える。中国は平和利用を強調しているが、16年を最後にプルトニウム保有量を公表しておらず、軍事利用への疑念は拭えていない。
核兵器による抑止力の強化は、アジア周辺や「核心的利益の中の核心」と位置付ける台湾への米国の介入を防ぐのが狙いとみられる。今年9月にはICBMの発射実験を公表するなど、核攻撃能力も誇示。米が呼び掛けている核管理にも後ろ向きだ。