フェトフッラー・ギュレン師死去=米亡命のトルコのイスラム指導者 2024年10月21日 19時28分
【イスタンブール時事】イスラム教の実践と社会奉仕を進める「ギュレン運動」を主導するトルコのイスラム指導者フェトフッラー・ギュレン師が20日、事実上の亡命生活を送っていた米国で死去した。83歳だった。親族らが明らかにした。トルコで2016年7月に起きたエルドアン政権に対するクーデター未遂の「黒幕」と同国政府に断定され、支持者が大規模な粛清の対象となった。
1941年、トルコ東部エルズルム出身。60年代にギュレン運動を開始し、学校や病院、慈善団体を運営して自身の思想を広めた。大勢の支持者が警察や軍人、教員などとして政府主要機関で活動したほか、国外にも多くの信奉者を抱える。非イスラム教徒との対話を重視し、13年には米誌タイムの「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた。
憲法で掲げる世俗主義に反してイスラム色の濃い国家を志向したとして捜査対象となり、99年に病気療養を理由に米国に移住。03年から政権の座にあるエルドアン大統領との関係は良好だったが、13年ごろから急速に悪化し、16年5月には政権転覆を図ったとして同運動がトルコ政府によりテロ組織に指定された。