対ロ圧力の強化訴え=ウクライナ支援で法と秩序守る―ノルウェー外相インタビュー 2025年06月08日 06時01分

来日したノルウェーのアイデ外相は時事通信のインタビューに応じ、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの圧力をさらに強める必要があると訴えた。侵攻長期化でロシア経済が弱体化しているとし、制裁強化が戦争終結への有効な手段になると強調した。
アイデ氏は、ロシアがウクライナと直接協議を行ったことを評価しつつ、「平和を望んでいるようには見えない」と指摘。直接協議が停戦実現につながることに懐疑的な見方を示した。
また、ウクライナ支援には、国際法と法に基づく秩序を守る意義があると説明。台湾統一に向け武力行使の選択肢を放棄しないと明言する中国に言及し、「(侵攻が)ロシアにとって成功と言える結果になれば、他の権威主義国も戦争を正当化しかねない」と警鐘を鳴らした。
ロシアが戦争終結後、周辺国へ再び侵攻する可能性については「理論的にはあり得るが、直ちに実行する体力はないはずだ」と予想した。一方で「問題なのは、戦争ではない形の攻撃方法が多くあることだ。既にバルト諸国は、毎日のようにサイバー攻撃を受けている」と指摘。軍事的手段と、海底ケーブル破壊や偽情報拡散など非軍事的手段を組み合わせた「ハイブリッド攻撃」への対策を呼び掛けた。
ノルウェーは5月、欧州連合(EU)などと共同で、ロシアの戦争犯罪を裁く特別法廷設置を発表した。アイデ氏は「個人が罪を犯せば訴追されることは、誰もが知っている。国際社会での振る舞いについても、同様のルールと原則があるべきだ」と主張。特別法廷が「ロシアだけでなく、将来の侵略者に対する圧力にもなる」と述べた。
さらに、国際情勢が不安定さを増す中、ノルウェーと日本など価値観を共有する民主主義国家との関係は「重要性が高まっている」と強調。日本との経済連携協定や、人工知能(AI)分野での協力に意欲を示した。