消えないボコ・ハラム脅威=邦人女性、現地で映画撮影―ナイジェリア 2025年06月08日 14時47分

取材に応じる石田結愛さん=2日、東京都港区
取材に応じる石田結愛さん=2日、東京都港区

 ナイジェリアからイスラム過激派ボコ・ハラムの脅威が消えていない。会社員、石田結愛さん(26)は昨年8月、現地入りして短編映画を撮影。栄養失調の赤ちゃんが苦しむ状況を収め、映画祭に出品した。東京都内で時事通信の取材に応じた。
 石田さんは2019年、映画コンテストで赤十字国際委員会(ICRC)の賞を受賞。副賞だった「世界のICRC現場取材」を利用し、ナイジェリア北東部ムビに向かった。
 ムビは、ボコ・ハラムが14年4月、女子生徒276人を拉致したチボクの南80キロに位置する。ムビも同年10月から1カ月、ボコ・ハラムに占領された。カメルーン国境に近く、越境すれば追跡を振り払えるため狙われやすい。今も一帯では襲撃が続く。
 撮影した赤ちゃんは、枯れ枝のように腕が細い。母親に話を聞いていると、赤ちゃんは弱い声で泣いた。石田さんは「何も考えられなくなった」。ボコ・ハラムは過去20年、繰り返し学校を襲った。教育の機会を奪われた世代が母親になり、収入を得る機会が乏しく困窮は深まっている。
 街には緊張が漂う。撮影は毎日、ICRCが安全を確認して行われた。宿舎は、襲撃に備え3メートルの塀に囲まれ、いざという時に逃げ込むシェルターもあり、要塞(ようさい)化されていた。「怖かった。むやみに街中も撮れなくて」と振り返った。
 気候変動の日照りや豪雨で作物が失われ、ロシアのウクライナ侵攻後のインフレもムビの貧困者を追い詰める。それでも「困難と闘い頑張ろうとしている人たちがいる」と、14分間の短編映画「Make it through,do it yourself 立ち上がれ~自分の力で生きるということ」にまとめた。国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」で11日までオンライン上映されている。 

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母親に取材する石田結愛さん(右)=2024年8月、ナイジェリア北東部ムビ(赤十字国際委員会=ICRC=提供)
母親に取材する石田結愛さん(右)=2024年8月、ナイジェリア北東部ムビ(赤十字国際委員会=ICRC=提供)
栄養失調の赤ちゃん=2024年8月、ナイジェリア北東部ムビ(赤十字国際委員会=ICRC=提供)
栄養失調の赤ちゃん=2024年8月、ナイジェリア北東部ムビ(赤十字国際委員会=ICRC=提供)
赤十字国際委員会(ICRC)の栄養治療食を食べるナイジェリアの子供たち=2024年8月、ナイジェリア北東部ムビ(ICRC提供)
赤十字国際委員会(ICRC)の栄養治療食を食べるナイジェリアの子供たち=2024年8月、ナイジェリア北東部ムビ(ICRC提供)

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