イラン、大規模報復明言=軍幹部ら多数死亡、核施設も被害 2025年06月13日 18時03分

イランの最高指導者ハメネイ師=6月4日、テヘラン(最高指導者事務所提供)(AFP時事)
イランの最高指導者ハメネイ師=6月4日、テヘラン(最高指導者事務所提供)(AFP時事)

 【イスタンブール時事】イスラエルによる核関連施設などへの攻撃を受け、イランは大規模な反撃を行うと明言した。軍参謀総長や著名な核科学者ら多数を殺害されたことの衝撃は強く、報復の規模は昨年4月と10月のイスラエル本土を狙った攻撃を大幅に上回るとみられる。イスラエル側に甚大な被害が出れば、報復の連鎖が続く恐れもある。
 「シオニスト(イスラエル)には苦痛の運命が確実にもたらされる」。イラン最高指導者ハメネイ師は声明で強い怒りをあらわにした。トップが死亡した精鋭軍事組織「革命防衛隊」や軍参謀本部も相次ぎ報復を宣言した。
 今回の攻撃は、イスラエルと敵対するパレスチナのイスラム組織ハマスやレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者が殺害された一連の作戦をほうふつとさせる。イスラエルは工作員をイラン国内に浸透させ、長期の諜報(ちょうほう)活動による周到な準備で踏み切ったもようだ。警備が厳重なはずの本土で有力者を殺害され、面目もつぶされる事態で、イランにとって心理的打撃や反発も大きい。
 イラン原子力庁は、核開発の中枢である中部ナタンズのウラン濃縮施設が攻撃によって被害を受けたと認めたものの、核開発への影響は不透明だ。一方、西部や北西部の軍事施設も標的になった。イスラエルのネタニヤフ首相は「イランの弾道ミサイル計画の心臓部を攻撃した」と主張しており、イランの軍事力が著しく低下した可能性もある。
 イランは今月初め、核兵器を保有しているとされるイスラエルの核施設に関する膨大な機密情報を入手したと主張していた。数百発の弾道ミサイルを使い、報復の対象としてイスラエルの核施設を狙う可能性は排除できない。
 イラン政府は13日、攻撃を非難する声明で「われわれがウラン濃縮の権利やミサイル能力にこだわる理由を世界は理解しただろう」と強調した。イスラエルが「イランの脅威」排除を訴えて強硬策に出るほど、イランも態度を硬化させる悪循環が続き、中東の安定は遠のく一方だ。 

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