被爆体験「国境と世代超えて」=広島の小倉さん、豪で核廃絶訴え 2025年08月16日 16時39分

【シドニー時事】1945年8月に広島に投下された原爆で被爆した小倉桂子さん(88)が16日、オーストラリア最大都市シドニーで講演し、核廃絶への願いを訴えた。小倉さんは「被爆体験を持つ人はやがていなくなる。国境を越え、世代を超え、より遠くまで伝えたい。若い皆さんにバトンを渡したい」と語った。
8歳の時に被爆した小倉さんは、英語で被爆の実相を語る活動を約50カ国で行っており、2023年のG7広島サミット(先進7カ国首脳会議)の際には参加首脳と対話した。講演では、原爆で街が一瞬にして破壊され、放射性物質を含んだ「黒い雨」に遭った体験を、写真や絵を見せながら証言。「助けて」「水をくれ」と叫びながら目の前で多数の市民が亡くなった惨状を説明した。
小倉さんは「核兵器は世界になお約1万2000発もある。決して使用されてはならず、私の生きているうちに禁止を実現してほしい」と主張した。また、日本国内で一部政治家が核武装論に言及していることに関し、記者団に「ひたひたと恐怖を感じている」と懸念を示した。
講演を聞いた中学3年生のコール・ベールさんは「力強い証言だった。核兵器は要らないという思いを強くした」と語った。ニューサウスウェールズ州教育庁のマーティン・グラハムさんは「単に歴史を学ぶだけでなく、先の世代へしっかりと伝えたい」と表情を引き締めた。
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