ウクライナにボール、厳しい判断も=米ロ会談、疑心で見詰める 2025年08月16日 15時50分

ウクライナのゼレンスキー大統領=13日、ベルリン(AFP時事)
ウクライナのゼレンスキー大統領=13日、ベルリン(AFP時事)

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、疑心を持ちながら15日の米ロ首脳会談を見詰めた。取引(ディール)に前のめりなトランプ米大統領は欧州にいさめられ、重要な問題は「ウクライナが決める」とボールを投げた。一方、ロシアのプーチン大統領は記者発表で、ウクライナが和平の進展を阻害しないよう警告。ゼレンスキー氏とプーチン氏の対面が実現すれば、自分が譲歩するか否かの難しい判断を迫られそうだ。
 プーチン氏が西側諸国が求めた即時停戦に応じず、ウクライナとの代表団レベルの直接協議を提案した5月、ゼレンスキー氏は「トルコで待つ」「協議を恐れている」と挑発。トランプ政権からも促され、ロシアとのトップ会談に応じない理由はない。
 停戦が懸かる米ロ首脳会談に当たり、プーチン政権から東部ドンバス地方のウクライナ軍撤退を「最後通告」され、ロシア軍の猛攻を前に戦況は不利に傾いていた。頭越しの譲歩のシナリオに不信感を募らせたゼレンスキー氏は、欧州主要国に泣き付いた。欧州連合(EU)は12日、「ウクライナ国民が将来を決める」と首脳声明を出し、ゼレンスキー氏は「ドンバス地方から撤退しない」と強調した。
 ロシアの軍事介入を受けた2015年のドンバス地方の停戦合意時、フランスのオランド前大統領はドイツも交えた4カ国首脳会談でプーチン氏と交渉した。最近、英メディアの取材に「プーチン氏は(紛争解決を)急いでいないが、トランプ氏は結果を出したいと急いでいる」との分析を示した。ゼレンスキー氏は今後、対ロ交渉の長期化も視野に形勢挽回を図るべく、西側諸国による対ロ包囲網の再構築を訴えるとみられる。 

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