核施設攻撃の裏に秘密工作=イラン領内に「ドローン基地」―イスラエル 2025年06月14日 15時52分

【カイロ時事】イランの核施設空爆に踏み切ったイスラエルが、作戦実行の前からイランに工作員を深く浸透させ、入念な準備を進めてきたことが明らかになった。イスラエル当局者がメディアに、攻撃を実現させた「内幕」を打ち明けた。
米ニュースサイト「アクシオス」によれば、イスラエル政府は8カ月かけてイランの核施設攻撃の計画を具体化させた。当局者は、実行に向け、イスラエルの対外情報機関モサドの工作員が何年も前から下地作りをイラン国内で行ってきたと説明した。
具体的には、工作員が、長い時間をかけてイラン領内に爆発物を搭載したドローンを持ち込んでいた。軍事施設の近くにひそかに集め、「ドローン基地」を構築。中部では、地対空ミサイルの発射施設付近の空き地に精密誘導兵器も設置した。
攻撃開始と同時に、長年温めてきた作戦も並行して始動させた。イランの防空能力を低下させるため、ミサイル発射装置などを一斉に攻撃。このため、核施設といった厳しい防御態勢が敷かれているはずの施設にもイスラエル軍は打撃を加えることができた。
イスラエルは今回の攻撃で、軍トップら要人も大勢殺害した。いつ、どこに、誰がいるのか―。モサドは標的の情報収集も徹底した。諜報(ちょうほう)活動がイラン中枢の深部まで及んでおり、専門家は米CNNテレビに「モサドにとってイランは遊び場だ」と指摘した。
一方、攻撃成功に向けては、イスラエル首相府も一枚かんでいたという。地元紙エルサレム・ポストは、「ネタニヤフ首相の家族旅行」「治安部門高官の国外出張」などうその情報を流し、イランを油断させたと伝えた。