米、イランと週内協議模索か=イスラエル、再び軍高官殺害―国営TVも攻撃、応酬続く 2025年06月17日 18時08分

【ワシントン、イスタンブール時事】米ニュースサイト「アクシオス」は16日、トランプ米政権がイスラエルとの交戦停止や核交渉再開のため、週内の協議実現に向けてイラン側と接触していると伝えた。イランが米側の提案に応じなかった場合、トランプ大統領はイラン中部フォルドゥのウラン濃縮施設を米国が持つ地下貫通型爆弾「バンカーバスター」で攻撃することも検討しているという。
トランプ氏は16日、自身のSNSで「(イランの首都)テヘランから皆が直ちに避難すべきだ」と警告。ただ、17日には「いかなる形でも『和平協議』のためにイランへ手を差し伸べてはいない。偽ニュースだ」と投稿した。
米国はイスラエルのイラン攻撃への関与を否定しているが、バンカーバスターを使用するには米軍の支援が不可欠。紛争に巻き込まれる事態を懸念するトランプ氏は慎重な判断を迫られる。米メディアによると、トランプ氏はカナダから戻る大統領専用機内で「求めているのは停戦ではなく、本当の終結だ」と述べた。
米国防当局者は取材に対し、南シナ海周辺に展開していた空母「ニミッツ」を中東に派遣すると明らかにした。週内にも到着する見通しで、既にアラビア海に展開中の空母「カール・ビンソン」との2隻態勢となる。
イスラエルは17日もイラン各地へ攻撃を続行。イスラエル軍は同日、テヘラン中心部で精鋭組織「革命防衛隊」のシャドマニ参謀長を殺害したと発表した。イランで軍要人が相次ぎ殺害された後、シャドマニ氏は革命防衛隊や軍を指揮する立場だったとされ、「(イラン最高指導者)ハメネイ師に最も近い人物」(イスラエル軍)と見なされている。イラン西部でも数十カ所のミサイル保管・発射施設が空爆された。
イスラエルのネタニヤフ首相はイランの体制転換も辞さない強硬姿勢を取る。16日にはイラン国営テレビも標的となり、生放送中の爆発で画面が灰色になった。政権のプロパガンダを拡散するテレビ局への攻撃で、イランの体制支持層を威嚇する狙いもあったとみられる。2人が死亡したとされ、アラグチ外相は「真実を伝えるだけの民間施設を攻撃した卑劣の極みだ」と非難した。
一方、イランも17日にイスラエルへ向けて数度にわたり、多数の弾道ミサイルやドローンを発射。商都テルアビブなどで負傷者が出た。