イラン、攻撃中止要求=交渉再開に条件、米大統領「困難」―イスラエル空爆、死者430人に 2025年06月21日 19時39分

イランのアラグチ外相(中央)=20日、ジュネーブ(AFP時事)
イランのアラグチ外相(中央)=20日、ジュネーブ(AFP時事)

 【イスタンブール、ワシントン時事】イランのアラグチ外相は20日、イスラエルとの交戦を巡り「侵略が止まり、侵略者の責任が追及されれば、外交を考慮する用意がある」と述べ、米国との交渉再開の条件としてイスラエルの攻撃中止を要求した。これに対し、トランプ米大統領は、イスラエルが有利な戦況下で中止するのは「非常に困難だ」と指摘。米軍参戦の回避に向けた協議実現のめどは立っていない。
 トランプ氏はイランの核兵器保有につながりかねないウラン濃縮活動の完全停止を求め、イランが応じなければ中部フォルドゥなどの主要核施設への攻撃に踏み切る可能性を示唆。19日には攻撃の是非を「2週間以内」に判断すると発表している。
 アラグチ氏は20日の米NBCニュースとのインタビューで、ウラン濃縮活動は「イランの科学者の功績で、国家の誇りと尊厳の問題だ」と説明。濃縮停止に応じない方針を改めて主張した。
 また、米との高官協議直前にイスラエルが対イラン攻撃を始めたことについて「(米国は)計画を隠すために交渉が必要だっただけではないか」と反発。「米国は外交を裏切った。もはや信用できるか分からない」と批判した。
 イランの要求を無視する形で、イスラエルは21日も攻撃を続行。イスラエル軍の声明によれば、イラン西部への空爆では、軍事組織「革命防衛隊」の精鋭コッズ部隊で親イラン組織への武器提供責任者だった幹部を殺害した。また、中部イスファハンではウラン濃縮に使う遠心分離機の製造施設などを標的とした。放射能漏れはないという。
 イランのメディアは保健省の情報として、13日の交戦開始以降の死者は430人、負傷者は3500人以上に達したと伝えた。
 英仏独と欧州連合(EU)の外相は20日、ジュネーブでアラグチ氏と会談し、米国との交渉を通じた事態打開を要請。ただ、アラグチ氏は否定的な考えを示し、欧州側との協議継続で一致するにとどめた。 

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