蘇州襲撃1年、日本人社会に傷=真相は不明のまま―中国 2025年06月24日 18時53分

日本人母子らが襲われた中国江蘇省蘇州市のバス停=2024年6月
日本人母子らが襲われた中国江蘇省蘇州市のバス停=2024年6月

 【蘇州時事】中国江蘇省蘇州市で日本人母子が襲撃され、中国人女性が死亡した事件から24日で1年。犯人の男は故意殺人罪で死刑判決が確定し、既に執行された。現地の日本人社会に一時広がった不安は落ち着きつつあるが、事件の「傷」は残っている。日本人を狙ったのかなど、犯行の背景や真相が公判で明らかにされなかったこともあり、警戒が続く。
 事件では、日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子が刃物で切り付けられて負傷し、バスの案内係の中国人女性、胡友平さんが死亡。今年1月の一審判決は、周加勝・元死刑囚が「借金苦から生きているのが嫌になり、3人を殺傷した」と認定し、死刑を言い渡した。だが、被害者がなぜ日本人だったのかへの言及はなかった。
 昨年9月には広東省深セン市で、日本人学校の男児が登校中に刃物で刺され死亡する事件も発生した。中国各地の日本人学校では、スクールバスの警備を強化するなど安全対策を継続している。事件現場に居合わせた児童からは「バスに乗るのが怖い」と訴える声もあり、学校ではこうした児童の「心のケア」も進めているという。
 蘇州で勤務する日本人駐在員は「現地の日本人社会に今は緊張した雰囲気はなく、落ち着いている」と語る。ただ、中国では盧溝橋事件が起きた7月7日など9月にかけて反日感情が高まるとされる「敏感な日」が続く。日本大使館は在留邦人に注意喚起していく構えだ。 

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